通り過ぎていく日常

 初めて見た時には、何とも思わなかった。
 2回目に見た時は、どうして一人でいるのかなと思った。
 3回目に見た時は、とても綺麗な横顔だと思った。

「隣、いいですか?」
「どうぞ」
 彼女は微かににっこりと笑い、顔を傾ける。
 そして、何もなかったかのように、すぐに問題集へと目を移し、問題を解き始めた。
 愛想良いのか悪いのか。もう少し話してみたい気がしたけども、何も話題が見当たらず、こっそりと彼女のノートに目をやる。そこには、v=gt、v=2gyとの走り書きが。横には拙い感じで、○と直線も。vの2乗が落ちてる。と、思ったけども、言えなかった。

 何日か彼女を観察してみて、分かったことがある。
 それは、朝、必ずipodで何か聞きながら、教室に入ってくること。いつも昼ご飯は一人で食べていること(何やら本を読みながら)。天気が良い日は公園でサンドウィッチを食べること(僕はコンビニに行く途中発見してしまった)。ご飯の時に限らず割りといつも一人だということ。小テストはいつも満点を取ること(先生に褒められている)。服装がいつもかわいいこと。アクセサリーもお洒落だということ。たまに、ニコニコしながら授業を受けていること。時々、女子と楽しそうに会話していることもあること(だけど、つるまないみたいだ)。帰りは少し自習をしてから帰っていること。

 彼女は何に興味を持っているんだろう。
 案外、周りのことをじっと観察しているタイプかもしれないし、僕の存在なんか気付いていないかもしれない。
 
 僕は


 自由落下。