unconsciously

どうして世の中はすっきりしていて、私はいつか何かをやり遂げようと思うのに、いつも高校時代か大学時代で止まったままで、同じ苗字のあの女の子はサックスのプロになってしまった。私はピアノを簡単に諦めてしまって、手に取るものはあの時、鉛筆で軽くなぞった楽譜だけ。あの頃はいつも一緒に夜の警備員が来るまで、しっとりとした音楽室で2人で練習していたのに。中学生から憧れていたサックスを初めて吹いてみた時、リードが唇に噛み付いて痛かった。久し振りの彼女のサックスの音色はとても強くて、とても適わないなと思った。私は調子に乗るだけ乗ってピアノを弾いただけ。今では誰も私がピアノを弾けたことを覚えてはいない。あの発表会、真っ白になって、音が見えなかった。完璧に指が覚えていたはずなのに、完璧に止まった。バッハもベートーベンも未だに…。いつになったら現状に満足できるのだろうか。あの子みたいに笑えない。笑ったら、馬鹿にしているのかと怒られた。殴られた。真っ直ぐに見詰められない。目を合わせることに我慢が出来ない。体が揺れる。ああ、彼の後ろ姿は少し頼りない。首の鎖骨のラインが好きだ。幼い頃、父と風呂に入った時、鎖骨に水を溜めて遊んだ。父の腕のラインが好きだった。今は父も少し小さくなって、彼よりも小さくて、父には決して見せない私の体を別の男には見せる。本当はセックスは好きではないのだ。何で、何のために? でも、反応してしまうのだ。ああ、矛盾。私は何がしたいのだろう。友達って恋人って何? 何かをしたいのだろうか。ユングとかエリクソンとか勉強していると、もう自分もホーソン効果で、意外に集中できる。思いっきり笑いたいなあ。いつも素直に真っ直ぐでいられたら、何か手に入れることが出来るのだろうか。本当のことは言えない。言わないうちに、何が本当のことなのか分からなくなってきた。伝えてみたら、勘違いだと言われた。事実が無いのだ。全ては自分の空想か。気持ちが無い。薄らと浮かび上がる感情も勘違い? 矛盾矛盾。すべきこと、人の為に行動すること。理解する振りして偽善。偽善だと何だと言われようと、しなくてはいけないこともある。だけど、私は偽善者だ。それは変わらない。