ともだち

 少年はサケをかっていました。
 2人はいつもなかよしです。サケくんは少年のへやにある水そうの中にいます。少年はごはんのじかんになると、サケくんにえさをあげます。サケくんはそれをとてもたのしみにしているのでした。
 そして、少年とサケくんは、まいにちいっしょにあそびます。たとえば、じゅうばこよみ・ゆとうよみクイズや日本の川のなまえクイズなどをして、たのしみます。
「サケくん、『雨具』はじゅうばこ? それともゆとう?」
「じゅうばこ、だね」
「ちがうよー。ゆとうだよ」
「そっかあ。また、まちがえた」
 サケは、ふふふ、とわらうと、口からまあるい水のたまを3つ出しました。少年は、これを見ると、いつもうらやましくなります。ぼくも、いつかつくってみたいなと心の中で思いました。

 ある日、少年がテレビを見ていると、さかながうつっていました。さかなは、川をじゆうにおよいでいます。そのとき、少年は、サケくんもほんとうは川でおよぎたいのかもしれないなと思いました。
 少年はサケくんに言いました。
「サケくん、水そうの中はいやかい?」
「きみといっしょにいられるから、たのしいよ。でも……」
「でも?」
「川でおよいでみたいな、って前から思っていたんだ」
「そっか」
 少年はサケくんを川につれていきました。水そうを水ぎわにおきました。4年もいっしょにいたので、なんだかさみしいきもちになりました。
 サケくんは、目のまえの川にわくわくしていました。今まで、もっと広いところでじゆうにおよぐことをゆめみていたのです。
「サケくん、がんばっておよいでね」
「うん」
 少年は川にサケくんをはなしました。そして、2人はおわかれしました。
 サケくんは川の中心めざしておよぎます。しかし、思ったよりもながれは早かったのです。
「そうだ。ぼくは4年も生きていたんだ。人間ならおじいちゃんだよ。力が出ないはずだ」
 それでも、サケくんはいっしょうけんめいおよぎました。ぼくは白いじゆうを手にいれたんだとサケくんは思いいました。
 しばらくすると、サケくんは白いしぶきの中に見えなくなりました。
 


 教科書に載っている三ページ程の物語を、りかちゃんに読んでみてよと、せかされて流し読みした。
「ね、ね、何か気付いた?」
「え」
「まちがいあったでしょ? 教科書なのに」
「ああ。後ろから二行目の『思いいました』ってところ?」
「そうそう。さすが」
 りかちゃんはとても嬉しそうに話した。
 それから、私たちは、重箱読み湯桶読みゲームをして楽しんだ。ゲームは私のほうが得意だったけど、実はりかちゃんのほうが頭が良いんだよなあ、と幸せそうなりかちゃんの笑顔をながめた。












という夢を見た。