草上の昼食
女は救いを求める男たちの会話に耳を傾ける。
静けさの中、女は考えた。
言葉で誰かを救おうなど、到底無理なことで、例え、一瞬でも救えたなどと錯覚しようものならば、貶められたのは自分のほうである。
女に出来ることは、己の体を使い、その男の懊悩として堪えざらぬ様子を解放することかもしれぬが、それを行うことは簡単な様でいて、煩雑である。
個は世界のほんのほんの一部分でしかないことを忘れてはいけない。それを忘れてしまった時、裸にされているのは自分だけなのだと気付く。世界は知らず知らずのうちに進捗するのだ。
ふと気付けば、別の女はその愛らしい踵を捧げるために、水を掬う。
私はどちらに徹すればよいのか。
喧嘩上等。